2026/07/03
ビジネス編と魂編。
今月は、どちらも「検査済証」という同じテーマでお届けします。
一見すると、とても地味な題材かもしれません。
しかし私は、
この一年で最も重要な課題の一つだと感じています。
なぜなら、売主様も買主様も
金利上昇には意識が向いていても、
その裏で検査済証が、これほど重要になっていることには、
まだ気付いていないと感じてきたからです。
これからの売却や借り換え、融資を考える上で、
この一枚の紙が果たす役割は、
今後ますます大きくなっていくと私は考えています。
だからこそ、その重要性をお伝えしたいと思い、
ビジネス編を書き始めました。
今回のビジネス編は、
この一年で最も時間を要した記事になりました。
最後まで書き切るには、
それほど多くの検証と整理が必要だったのです。
ところが、書き進めていくうちに、
このテーマは単なる書類の話ではないことに気付きました。
東京の方からすれば、
「検査済証?あって当たり前でしょ。」
そう思われるかもしれません。
実際、東京では築20年以上の鉄筋コンクリート造(RC)の物件でも、
検査済証があるのが当然なのです。
しかし、大阪ではまったく事情が違います。
築20年以上のRC物件で検査済証があるケースは少なく、
まるで宝石を見つけるような感覚なのです。
そのくらい、私の感覚では、
大阪は、全国でも断トツで検査済証がない地域なのです。
だからこそ、
その時代に検査済証を取得していたオーナー様の選択には、
私は強い意味を感じるようになりました。
その一枚の紙には、
その時代を生きた人の価値観や選択、
そして生き方まで映し出されていると感じたのです。
あまりにも奥が深く、
これは魂編としても書き残しておきたい。
そう思い、この魂編を書き上げました。
「そもそも、検査済証って何?」
そう思われる方も多いと思います。
実際、一般の方にとっては、
普段ほとんど耳にすることのない書類です。
しかし、不動産売買の実務をしている立場からすると、
真っ先に確認したくなる書類の一つです。
この一枚の紙があるかないかで、
売主様の売却、
買主様の融資や将来の見通しが、
大きく変わることがあるからです。
検査済証とは、
建物の工事が完了した後に完了検査を受け、
建築基準法に適合していることを証明する書類です。
特に金利上昇局面に入った今、
この一枚の紙がこれほど重要な意味を持つ時代は、
ここ数年の間では、恐らくありませんでした。
そんな中で、私は、
このたった一枚の紙が、これからの時代
資産を守っていく上で重要な役割を果たしていく
と実務を通じて痛感してきました。
全国を見て初めて、
このテーマの奥深さに気付けたのかもしれません。
地域によって、
検査済証が「あるのが前提」の市場もあれば、
「ないのが前提」の市場もある。
私が複数回、取引に携わり、
現地を訪れた札幌市と鹿児島市。
地方都市のなかでも、この二つの市場は、
ある意味で両極でした。
あくまで私が実務を通じて受けた印象になりますが、
札幌市では、
ほぼ100%に近い割合で検査済証が確認できます。
一方で、鹿児島市では、
その状況がまったく逆でした。
日本の北と南。
これほど離れた地域で、
ここまで傾向がきれいに分かれるのかと、
とても面白く感じました。
時代背景。
地域ごとの違い。
金融機関ごとの融資姿勢。
そして、全国という視点から見た大阪市場の特異性。
それらが複雑に何十にも重なり合っており、
単純に「ある」「ない」で語れる話ではありませんでした。
検査済証という一枚の紙が、
地域の特性や市場の違いを
これほどまでに映し出すものなのかと実感しました。
地域が変われば、市場も変わる。
市場が変われば、
当たり前だと思っていた価値観も変わる。
だからこそ、
全国を見て初めて見えてくることがあります。
その違いを見続けてきたからこそ、
今、この金利上昇の局面でどうしても書いておきたいと思ったのです。
検査済証はいまや、
売主様にとっては、
売却の時になければ困るものとなり、
買主様にとっても、
融資を受ける際になければ話が進みにくい。
そんな、
最も注目される書類の一つになりつつあります。
双方にとって必要不可欠な、
いわば「お守り」のような書類です。
では、なぜ今、
これほどまでに重要視されるようになっているのでしょうか。
実は、その理由は一つではありません。
金利上昇。
金融機関の融資姿勢の変化。
地域ごとの市場特性。
それらが複雑に重なり合った結果、
この一枚の紙は、
これまでとはまったく違う意味を持つようになりました。
その背景については、
今回のビジネス編で詳しく整理しています。
今では検査済証の取得は当たり前になっています。
しかし、
昭和から平成10年代前半頃に建てられた物件には、
全国的に見ても、
検査済証が残っていないものも数多く存在します。
その中でも、大阪は、
私が見てきた中では群を抜いていました。
だから私は、
当時の大阪の狂乱とも言える時代の中で、
周りに流されず、
ズルもせず、
目先の利益を追わず、
検査済証を取得していたオーナー様たちのことを思うと、
その一枚の紙の重みを感じるのです。
その方たちは、
未来の融資環境の変化を予測していたのでしょうか。
それもあるかもしれません。
ただ、
私が強く感じるのは、
目先の利益だけを見ていなかったということです。
もっと長い時間軸で物事を見ていた。
自分の代、子供や孫の代まで、
何十年も安心して引き継げる一族の資産を守ろうとしていた。
もっと言えば、
「ズルして儲けるのは格好悪い」
そんな価値観だったのかもしれません。
そしてこれは、
過去の話だけではありません。
今現在の融資の現場でも、
銀行が最後に見ているものは、
数字だけではないからです。
この人は逃げないか。
何かあった時に言い訳せず向き合う人か。
苦しい局面でも誠実さを保てるか。
取引姿勢に一貫性があるか。
お金は、
数字に貸すのではない。
人のスタンスに貸す。
その時代に、
何を大切にしたのか。
何を優先し、
何を見送ったのか。
その選択の積み重ねです。
不動産は不思議です。
建物そのものだけでなく、
その時代を生きた人の考え方まで映し出します。
だから私は思うのです。
今、評価されているのは、
検査済証ではない。
目先の利益を取らなかったという
“過去の選択の履歴”
その人の生き方そのものなのだと。
私が今回お伝えしたかったのは、
検査済証という一枚の紙の話だけではありません。
本当に大切なのは、
「何を見るか」という視点です。
目先の利益だけを見るのか。
それとも、5年後、10年後、
その先まで見据えて判断するのか。
その視点の違いが、未来を大きく変えていきます。
そして、その「視点」が最も分かりやすく表れるのが、
今回のテーマである検査済証でした。
未来を守るためには、まず見る視点を変えること。
その視点が、これからの資産を守る力になると
私は信じています。
ビジネス編では、この一枚の紙が、
これからの融資や売却、そして資産を守る上で、
なぜ重要になっていくのかを整理しています。
その第一歩として、ぜひビジネス編もお読みいただければ幸いです。